乾癬分子標的薬使用承認施設

日本皮膚科学会認定 「乾癬分子標的薬使用承認施設」

日本皮膚科学会により「乾癬分子標的薬使用承認施設」として認定されています。
そのため、積極的に新しい治療法を採用した診療ができる、江東区で数少ない施設となっています。

認定施設になっていることで、乾癬、痒疹、アトピー性皮膚炎でこの生物学的製剤を用いて治療が可能です。

 

生物学的製剤とは

生物学的製剤は、生物から産生されるタンパク質などの物質を利用して合成される医薬品です。これに対して、一般的な医薬品は化学的に合成された物質に基づいています。ワクチン製剤やホルモン製剤(例: インスリン)、ヒトの血液から作られる血液製剤、抗毒素製剤(例: ボツリヌス菌やジフテリア菌など)なども、広義の意味で生物学的製剤に分類されます。生物学的製剤は、特定の生物学的プロセスに対してピンポイントで作用する特徴があり、炎症に関与する物質の働きを効果的に抑制します。特に皮膚疾患においては、かゆみや皮疹などの症状を効果的に改善することが期待されています。

当院では、従来の治療方法では効果が不十分であった以下の疾患に対して、生物学的製剤治療を行っています。

  • 外用薬(塗り薬)
  • 内服薬(飲み薬)
  • 光線(紫外線)療法

アトピー性皮膚炎治療薬「ミチーガ(ネモリズマブ)」

ミチーガ皮下注用60mgシリンジ(有効成分:ネモリズマブ)は、アトピー性皮膚炎の「かゆみ」を引き起こすIL-31を標的とする日本初、世界初のヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体を含む生物学的製剤です。

ミチーガ(ネモリズマブ)は、IL-31と呼ばれるサイトカインに焦点を当てた薬剤です。IL-31は主にTh2細胞から分泌され、末梢神経に存在するIL-31RA(IL-31受容体)に作用してかゆみを引き起こします。ミチーガはIL-31RAに結合し、IL-31の結合を妨げ、それに伴う細胞内のシグナル伝達を阻害することで、アトピー性皮膚炎におけるかゆみを抑制します。

さらに、IL-31RAは末梢神経以外にも、好酸球、好塩基球、肥満細胞などの免疫細胞や角化細胞にも発現しているため、IL-31がかゆみだけでなく、炎症や皮膚のバリア機能低下にも関与している可能性が考えられます。

アトピー性皮膚炎治療薬「デュピクセント(デュピルマブ)」

デュピクセントは、アトピー性皮膚炎の皮疹やかゆみの原因をブロックする効果のある注射薬です。
これまでの治療では充分な効果が得られなかった中等症以上のアトピー性皮膚炎患者に対して、高い改善効果と安全性を示しています。
そのため、デュピクセントはこれまでにない優れたアトピー性皮膚炎治療薬と見なされています。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が主な病変であり、増悪と寛解を繰り返す慢性的な皮膚疾患です。かゆみによる掻破は皮膚症状を悪化させ、さらにかゆみが強まり、これが悪循環(Itch-scratchサイクル)を形成します。この循環は患者さんの生活の質(QOL)を低下させ、仕事や学業における集中力の低下や睡眠障害などを引き起こします。

アトピー性皮膚炎のかゆみの原因としてはヒスタミンがよく知られていますが、抗ヒスタミン薬では完全に抑えきれないとされています。最新の研究では、アトピー性皮膚炎においてはIL-31が中心的な役割を果たすと考えられています。ミチーガはIL-31受容体を標的とする薬剤であり、既存の治療が効果が不十分な場合に期待されるアトピー性皮膚炎のかゆみ抑制効果があります。

乾癬について

乾癬は、頭皮、ひじ、ひざ、すねなど全身に赤い斑点やフケのような落屑が現れ、爪の厚みも増すことがあります。この皮膚病は治りにくく、従来の治療法でも十分な結果が得られないことがよくあります。感染症ではないため他者にうつる心配はありませんが、乾癬性関節炎により関節が変形することもあり、その場合は早期の治療が重要です。

これまでは、塗り薬や光線療法、内服薬が主流でしたが、「生物学的製剤」が導入されて以来、皮膚症状が完全に消失するなどの効果が得られることがありました。

乾癬(かんせん)は、免疫が亢進し、全身の炎症が強くなる皮膚の疾患です。
乾癬の治療には、塗り薬、紫外線照射、飲み薬などさまざまな選択肢があります。生物学的製剤と呼ばれる最新の注射薬・飲み薬は、乾癬で過剰に生成される「サイトカイン(免疫機能に関与するタンパク質)」に作用し、炎症を抑制する薬剤です。
この治療法は乾癬の原因に直接アプローチし、他の治療法よりも高い効果が期待されます。

 
24時間受付 予約はこちらから